こんにちは、南川歯科クリニックの佐野です。
今日から「歯を丁寧にいたわる日常」をテーマに、
定期的に連載記事を掲載していきたいと思います。
皆さんが歯科医院に行くタイミングは、どのような状態のときでしょうか。
風邪を引いたら内科に、足をねん挫したら整形外科に。
といったように「歯が痛くなったら行く」場所と考えているかもしれませんね。
実は歯というものは
「痛みがあるから治療が必要で、痛みがないから治療が不必要」
という単純な部位ではないんです。
ガンのような死に至る病を想像してほしいのですが、
痛みを感じるのはガンの病気がかなり進行してから、というケースは珍しくありません。
また、歯科医院では治療が行われるのですが、歯が「治癒」するわけではありません。
「治癒」とは、例えば怪我をした部分が自然に元に戻ることをいうのですが、
歯の治療では元に戻らない、人工物に置き換わることになるんです。
つまり歯は、わかりやすく何かが起きてから対応する部位ではない、
治療で元に戻すことはできない部位である、
という意識で付き合ってほしいものなんです。
そう意識するために身に付けてほしいのが、
連載タイトルにした「歯を丁寧にいたわる日常」。
具体例の一つが、定期的に歯科医院に通い検査とメンテナンスを行うことです。
メンテナンスを受けているかどうかで、
5年後、10年後で歯を失う本数に明確な差があることはデータで示されています。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-010.html
この重要性を理解されている患者さんのなかには、
仕事を休んでも通院される人がいます。
一方で、痛みを我慢しきれなくなってからようやく来院する人も多く、
期間や費用がかかり、それでも元に戻るわけではないため後悔する…。
こういった患者さんを一人でも少なくしたいというのが、
今回の連載を始める大きなきっかけでもあります。
歯科医院は歯の治療をする場所ですが、その本質は、
歯をできるだけ良い状態を継続させる、歯の価値を守るための場所である。
この考え方を、ぜひともご理解いただければと思います。